
漫画が無料で読める。しかもコピーし放題。作家には広告料でお金が入る!そんな夢のような電子漫画サービス「Jコミ」が2010年11月17日に発表され、電子書籍関係のニュースが絶えない昨今ではあるが一際話題を集めた。
注目されたポイントは、電子出版では珍しく課金コンテンツではなく広告モデルとなっており、読者が無料で読める点。そして「Jコミ」を立ち上げた人物が「ラブひな」や「魔法先生ネギま!」で有名な現役漫画家の赤松健氏ということだ。
今でもかなりの部数を売っているバリバリの現役大物作家が自ら電子書籍サービスを立ち上げた理由は何故なのか。現役作家から見る、現在の漫画ビジネスは?電子出版の未来はどう見ているのだろうか。今回のインタビューでは「Jコミ」立ち上げ経緯から、日本の漫画文化の発展について、渦中の赤松健氏本人に語って頂いた。
電子出版に興味ある方々、そしてマンガが好きな読者には「Jコミ」が作る漫画の未来を一緒に考えてもらいたい。
電子書籍は3年前以上前から考えていた
―――「Jコミ」の構想はいつごろから?赤松健(以降、赤松): 三年以上前ですね。ネギまが終わり次第Jコミをやろうかなと考えていたんですが、ネギまが全然終わらなくて(笑)。そのうちに、いよいよこういう時代になっちゃいまして。
―――こういう時代というのは電子書籍ブームですね。
赤松: ええ。それで法人化に踏み切りました。
―――その頃から電子書籍に目を付けていた理由は?
赤松: テキストの電子書籍は検索やコピペができるから便利ですよね。漫画では検索は難しいですけど、もし昔の漫画からセリフの検索が出来たら素晴らしい。凄く電子書籍に未来を感じてましたね。
―――それはビジネス的に未来を感じてましたか?検索とかの技術的に?
赤松: 読者としてかな。作者としてよりも読者としてです。『マッハSOS』という漫画を読みたくてオークションで探してようやく手に入ったんですけど、そういうのが電子書籍で手に入って、更に作者さんにお金が渡ったらいいなと考えてました。
―――現在、電子書籍というと携帯漫画がありますが、いかがでしょうか。
赤松: 携帯漫画は1コマごとに表示されるんです。でも我々漫画家は見開きで漫画を描いているんですよ。特に、ページをめくるときのインパクトを重視しているのでコマごとに分解されてもなぁというのはちょっとあるんですよね。
―――漫画らしくはないですよね
赤松: そうですね。携帯の画面ならしょうがないですけどiPhone・iPadクラスでは1ページ単位で見ていただきたいと思ってます。携帯専用に書いている作家さんは別ですけど。既存の作品は、せめて1ページずつ、できれば見開きで読めること。それが一番望ましいです。
Jコミはコピー自由!
―――今、何か既存の電子書籍サービスはご利用ですか?
赤松: 自分で買うことはないですね。ちょっと高いですから。電子書籍で単行本を買うと400円以上したりして、それは紙の単行本と同じ値段なんですね。そうなるとかえって紙の方が便利な気もします。人に貸すこともできるし、ネットに繋がなくても読めるし。ちなみに今回の企画は、一冊丸ごとダウンロードができるのでネットに繋がってなくても読めます。しかも無料です。
―――コピーコントロール、DRMは?
赤松: 広告を抜くなどと、PDFの改ざんは出来ないようにはしますけどDRMはかかってないです。
―――コピーし放題!
赤松: ですね。作者的にはコピーされまくって広告がクリックされまくったほうが儲かるんです。
―――コピーされても広告は残るんですね。
赤松: それどころか、コピーを繰り返されて広告が全世界に広がっていきます。それにファイルの最後には、その作者の作品のamazonアフィリエイトを貼りつけます。そのアフィリエイト収入もその作者にいきますし、新作のプロモーションにもなります。
紙もパッケージ化次第ではまだまだ売れる
―――現在の、紙の漫画のビジネスモデルはどう思っていますか。赤松: 紙の売上自体は各社下がってますよね。ワンピースとか初版何百万部という例もありますが、メジャー誌で連載しても単行本化されない事例が増えてきました。
―――連載されても…?
赤松: 連載されてもです。厳しいですね。漫画家は単行本化されないと食っていけないです。
―――原稿料だけだと厳しいですよね。
赤松: はい。でも電車の中を見ても漫画読んでいる人は居ませんよね、もう。
―――携帯かゲームかって感じですね。
赤松: そこで携帯で見ているものが漫画だったら問題ないわけなんで、電子漫画ってことになります。実際、日本の電子出版の8-9割が漫画だと言われています。
―――「魔法先生ネギま!」の新刊も発売になってますが。
赤松: ちょうど今日(インタビュー日)、「魔法先生ネギま!」32巻が発売されました。通常版と限定版がありまして、限定版にはアニメ(OAD)が入ってます。限定版の特長は付録が多いんですよね。アニメDVDだけだとネットに流されかねないんですけど、この限定版にはカードが付いてるし、声優さんのラジオ番組や脚本PDFも付いてるし、通常版と限定版では表紙の服装が違ったり、とにかくコレクション要素が多いんです。ここまで来ると、ネットで落とすより買った方が早いです(笑)。
―――豪華ですね!
赤松: それで今でも6万部くらいの予約があります。3700円で6万部って凄い数ですよ。こうやってパッケージングで価値を高めるっていうのは紙でもまだまだ可能なんですよね。だからこういう文化は出版社と一緒に守っていきたいです。
赤松健氏サイン入り「魔法先生ネギま!」32巻(限定版)
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