さてさて、ついにこの連載も今回で最終回を迎えることとなってしまった。長いようで終わってみればあっという間の連載だった。
さて、そこで最終回にふさわしい記事をいろいろ考える中、最初は普通にラノベ業界全体の総括でもしようと思っていたのだが……そんなベタな記事よりも、この際思いきり趣味に走ってみることにした。
絶版とか発売日とか関係なく、好き勝手に自分の魂のラノベを紹介!
一応私もこれまでの連載では、現在でもそのライトノベルが入手可能かどうかを考慮したり、あまりに趣味に走った作品はできるだけ選ぶのを自重してきた。だが、今回はオールタイム基準で手に入るかどうかも一切考慮せずにお気に入り作品を紹介させてもらう。まあ最後だからということで大目に見ていただきたい。
皆さまのよいラノベライフの一助になりますように。

●アスリートの孤独を描く、おそらくは後にも先にも唯一のラノベ。
『銀盤カレイドスコープ』
(海原零/絵:鈴平ひろ/集英社スーパーダッシュ文庫/全9巻/2003~2006年)
フィギュアスケート選手の桜野タズサは、その比類無き容姿と毒舌、そして確かな才能を持ちながらも、本番に実力を発揮できないという最大の弱点を抱えていた。そんなタズサが、彼女に偶然憑依した幽霊ピートとの出会いをきっかけとして、才能を開花させていくスポ根である。
このシリーズのもっとも特異な点は、タズサの戦いがどこまでも孤独なことだ。ピートとの別離以降、タズサには真の意味でのパートナーは誰もいない。どこまでも一人で試合に対するプレッシャーと戦っていくことになる。その描写は強烈で、タズサが手痛い敗北を喫し、精神的にボロボロになったときに、吐瀉物をぶちまけたりしている。これを読んだ時には思わず「ぞわっ」と来た。こんなどん底から再び立ち上がるのも、周りが全く手を貸さなかったわけではないがあくまで自力だ。
良くも悪くも我が強い性格なので、タズサは国内のマスコミとソリが合わず、徹底的なバッシングにあっている。メディアをこれだけ敵に回すスポーツ選手(しかも主人公で!)は他に知らない。
タズサだけではなく、フランス代表選手で周りからは温厚な性格で聖人のように語られるガブリーが、タズサにだけ見せた、勝負に対するすさまじい執念なども特筆すべきだろう。
ラノベに限らず漫画も含め、多くのスポ根ではチームワークが重視される。一人だけでは勝負にならなくとも、みんなで力を合わせれば……というノリだ。そんな中で、徹底的に個人の戦いにこだわるこのシリーズは『アスリートの孤独』という、個人競技の本質と真っ正面から向き合った希有なシリーズと言える。
●ハルヒじゃなくて、ぜひこっちの続きを……
『学校を出よう!』
(谷川流/絵:蒼魚真青/電撃文庫/既刊6巻/2003~2004年)
「涼宮ハルヒの憂鬱」で一躍ヒットメーカーとなった作家・谷川流だが、実は電撃文庫でも同時期にSFテイスト溢れる作品をスタートしている。それがこのシリーズだ。
超能力を発現させた学生が集められた学園・第三EMP学園。そこで起きる様々な事件に、学園で唯一なんの能力も持たない少年・高崎が関わっていくことになるというものだ。
時間跳躍、平行世界、未来人などといったハルヒの世界でも登場したSFネタが、もっとずっとシャープな形で扱われているのが特徴で、登場人物もハルヒシリーズに比べてはるかに濃い連中ばかりが出てくる。
個人的には『学校を出よう!』を読んだ後だと、ハルヒシリーズはぬるま湯のように感じてしまう。一応第一部は終了しているものの、こちらも物語としてはまだまだ完結していない。ぶっちゃけ、ハルヒシリーズのほうが遥かに売れているためそちらが優先されるのは道理というものだが、それは重々承知の上で、この際ハルヒはしばらく休憩したままでいいから、こちらの続きをぜひ読みたいものである。
●作者の復活を心から願っている。
『電波的な彼女』
(片山憲太郎/絵:山本ヤマト/集英社スーパーダッシュ文庫/既刊3巻/2004~2005年)
作者・片山憲太郎の新刊はここしばらくストップしている。原因について思い当たる節はあるが、事実かどうかは作者本人にしかわからないことなのでここではあえて書かない。事実としては、紅のアニメ化という追い風がありながらも1年以上新刊が出ていない状態だということだ。普通であれば1年程度間が空くぐらい、取り立てて大騒ぎすることではないのかもしれないが、個人的にエールを送りたいということでご理解いただきたい。
ただ最近になって、集英社の「ゆかた祭り」と連動したスーパーダッシュ文庫販促用の無料配布小冊子に『電波的な彼女』の短編が掲載されていた。枚数的には微々たるものだが、作者の復活の兆しかも?
上のような経緯があり、作品の世界観は同じであること、また作品の傾向としてやや猟奇的なサイコミステリとしての部分が個人的に好みなのもあるので、あえて『紅』ではなく『電波的な彼女』の新刊が出るのを心待ちにしている。
いっそレーベルの壁を越えて作者には活躍してもらいたいところだが、これは欲張りというべきか。









































